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一首評の記録
150: ステージの光錐ライト・コーンとらえられ彼も海へは還れぬひとり永田和宏
149: 忘却はやさしきほどに酷なれば書架に『マルテの手記』が足らざり吉田隼人
148: きみはきのう惑星と呼ばれそしてひらかれた窓から入る朝鮮に瀬戸夏子
147: 桔梗きちかうはひと花ながらわきありく雀の素足すずしくかろし北原白秋
146: どうしても君に会いたい昼下がりしゃがんでわれの影ぶっ叩く花山周子
145: 水槽に一匹残つた魚のやうに列車の窓に青年が寄る楠誓英
144: 「キバ」「キバ」とふたり八重歯をむき出せば花降りかかる髪に背中に穂村弘
143: 雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁斉藤斎藤
142: もう歌は出尽くし僕ら透きとおり宇宙の風に湯ざめしてゆく雪舟えま
141: 光のなか光さわだつさまなして黒き鳩群橋よぎり飛ぶ高安国世
140: こんにちはみなさんたぶん失ってきたものすべて うれしいよ会えて柳谷あゆみ
139: 桃の毛をひからせあらふきらきらと依存心ふかくさびしき今日を米川千嘉子
138: これでいい 港に白い舟くずれ誰かが私になる秋の朝大森静佳
137: 会ひたいが何にが何んでも会ひたいになつたあたりの折り目をのばす山階基
136: 鳥 教会 草 雨 ガラス 君の言ふものにひたりとわれはつまづく澤村斉美
135: 受話器にて君の不在を知る時に雨は微かに強くなりゆく永田淳
134: ころんだという事実だけ広まって誰にも助けられないだるま木下龍也
133: 夕焼けがわたしを倒し渡ってく倒れて町の一部となりぬ雪舟えま
132: はじめて笑った日のこと思い出せそうだうなずきながら君に手をふる北村早紀
131: やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君与謝野晶子
130: 心臓をまもって歩くけものたち(夏のいのちはいたみやすいね)村上きわみ
129: 「薄明に野の祈りれられずくて夜はきしむ卵となりぬ」中島らも
128: 問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい川北天華
127: 問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい川北 天華
126: 一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております山崎方代
125: いとしさもざんぶと捨てる冬の川数珠つながりの怒りも捨てる辰巳泰子
124: 目を閉じて音だけを聞く映画にも光はあってそれを見ている山崎聡子
123: せつない とあなたの声で言ってみる あなたの耳に聞こえてる声斉藤斎藤
122: ここはきっと世紀末でもあいている牛丼屋 夜、度々通う吉田恭大
121: 「西友」の看板だけが明るくて試験監督している窓辺俵万智
120: 銃口の楊羽蝶あげははつひに眼じろがずまひるの邪心しばしたじろぐ明石海人
119: 翔ぶ鳥はふりかへらねど廃船は過去の時間を載せて傾く築地正子
118: 思い出を確かめながら渡る橋バックシートにCDなげて江戸雪
117: 水のかげとどめるビー玉死のときに握っていたいもののひとつに江戸雪
116: 帰り道あなたがわたしを覗きこむ顔の角度をみつけてしまう山階基
115: セーターはきみにふくらまされながらきみより早く老いてゆくのだ平岡直子
114: 人間に恋してしまつた ほのあかりする夕星ゆふづつに打ちあけてみる安田百合絵
113: 鈴を産むひばりが逃げたとねえさんが云ふでもこれでいいよねと云ふ光森裕樹
112: 卵立てと卵の息が合っているしあわせってそんなものかも知れない杉崎恒夫
111: 忘れ得ぬ心みたりし春のこと千の椿の葉の照り返し馬場あき子
110: 雨の夜は亡き人おもふほのぼのと発光をする馬のかたちの栗木京子
109: 青年と父が言うとき恋人は若木のように我が胸に立つ高松紗都子
108: 落ちてゆく陽のしづかなるくれなゐを女と思ひ男とも思ふ安永蕗子
107: 書きなぐっても書きなぐっても定型詩 ゆうべ銀河に象あゆむゆめ加藤治郎
106: 江ノ島に遊ぶ一日それぞれの未来があれば写真は撮らず俵万智
105: カーテンが窓の向こうにあふれいで風のかたちを示していたり北川浩久
104: 廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て東直子
103: 黒竜江アムールに飛び立ちゆかむ白鳥を思えり放射線をよぎりて吉川宏志
102: お誕生日会の三角帽子かぶった子と物乞いする子 強化ガラスを隔て野樹かずみ
101: トランプのどれか一枚なくなった途端残りも紙くずとなる早川晃央
100: わが肩に触るる触れざるゆふぐれの手があり少し泣きたい今は小島ゆかり
99: われの生まれる前のひかりが雪に差す七つの冬が君にはありき大森静佳
98: みずいろのリュックサックをせなにして吾子は少女となる交差点二又千文
97: かすかなるますといへども落雷に生きのこりからだ曲りておよぐ佐藤佐太郎
96: ゆふ日とほく金にひかれば群童は眼つむりて斜面をころがりにけり斎藤茂吉
95: 突然に『もろ人こぞりて』鳴り出だしティッシュ受け取り損ねて歩く福井和子
94: パラソルをかざしてゆくよ有史より死者は生者の数をしのぐに佐伯裕子
93: 広辞苑第三版の中にいて闘いやめぬアラファト議長(1929〜) 千種創一
92: 怒りつつ洗うお茶わんことごとく割れてさびしい ごめんさびしい東直子
91: そこだけがたしかにひぐれてゐる窓辺きみは林檎の光沢を剥く光森裕樹
90: はばたきのシステムという美があってそれに指先だけ触れている服部真里子
89: 直線を引き続けると前触れなく途中の道で日暮れに遭う矢頭由衣
88: 一心に糸を巻く夜 死ぬ時は胸のところが遠くなって死ぬ盛田志保子
87: モルディヴの形象をなぞる地図の上雨はそのまま止まないらしい下澤静香
86: 立ちならぶこころの病気ビルはまだどの窓も灯をともしてゐたり吉田隼人
85: いつかって言わないでくれ ゆっくりと目の高さまで煙草をあげて加藤治郎
84: 不信は長く人を支へてきたといふその人の持つ閑かなフォーク澤村斉美
83: 黒鉛が紙のおもてを滑ってこれは君が燃えても燃え残る雪平岡直子
82: あわれいま束を解かるる花茎のつゆけき交叉抱きあげむとす岡井 隆
81: 沈黙はときに明るい箱となり蓋を開ければ枝垂れるミモザ服部真里子
80: 栄光は死後にゆつくりと訪れて夕ぐれに咲く花の大きさ岡井隆
79: ほの暗い菩薩の森へわけいりぬどれもが永遠をささへあふ枝林和清
78: ホットケーキ持たせて夫送りだすホットケーキは涙が拭ける雪舟えま
77: くすの木の皮はがしつつ君を待つこのやさしさも過ぎて思はむ河野裕子
76: 大海わたつみはなにの罪ありや張りめぐるこの静脈に色をとどめて大滝 和子
75: きみが十一月だったのか、そういうと、十一月はすこし笑ったフラワーしげる
74: あなたが退くとふゆのをはりの水が見えるあなたがずつとながめてた水魚村 晋太郎
73: ウエハースいちまい挟み東京の雑誌をよむおとうとのこいびと土岐 友浩
72: 時計屋に泥棒がいる明け方の海岸道をゆれていくバス我妻 俊樹
71: 碧空をうけいれてきただけなのに異形のひととしてそこにいる江戸 雪
70: かたちなき憧れゆえに漂着の重油に浮かぶ虹を見ている野樹かずみ
69: われらかつて魚なりし頃かたらひし藻の蔭に似るゆふぐれ来たる水原紫苑
68: 相撲すまいする男すくなくなりしよりさやかなる水は店に売らるる棚木恒寿
67: ひだりうでに鎖をなして連なれる歯形を熱き陽にさらしをり光森裕樹
66: 背にひかりはじくおごりのうつくしく水から上がりつづけよ青年佐藤弓生
65: 手の甲で君のほっぺに触れてみた 君のまぶたが「ふしぎ」と言った宇都宮敦
64: なにひとつ求めぬ腕をしならせてやさしいひとが放つひこうき東郷真波
63: オレンヂを積む船に手を振りながらさびしく海を信じてゐたり喜多昭夫
62: 牛乳が逆からあいていて笑う ふつうの女のコをふつうに好きだ宇都宮敦
61: たっぷりのドレッシングの照り返しだけがすべてを愛してくれる東郷真波
60: なんでなんで君を見てると靴下を脱ぎたくなって困る 脱ぐね増田静
59: 遠いドアひらけば真夏 沈みゆく思ひのためにする黙秘あり澤村斉美
58: くらくなる紐ひっぱりながら横たわりながらねむれますよう起きれますよう斉藤斎藤
57: レシートの端っこかじる音だけでオーケストラを作る計画笹井宏之
56: 何もかも<ごっこ>で終ってゆく恋のさよならごっこのほんとの部分俵万智
55: 結果より過程が大事 「カルピス」と「冷めてしまったホットカルピス」枡野浩一
54: 「人生は苦しい」(たけし)「人生はなんと美しい」(故モーツァルト)永井祐
53: 君はひとりでお昼ごはんをたべている あんなところに階段がある下里友浩
52: 大みそかの渋谷のデニーズの席でずっとさわっている1万円永井祐
51: あはれ知命の命知らざれば束の里僚銀箔のごとく滿ちたり猖榾雄
50: イエスはかかりわれはうちふす死のきはを天あをがねに桃咲きみてり猖榾雄
49: 遠き萩それよりとほき空蝉のまみ 文學の餘白と知れど猖榾雄
48: 愬にして妖佑良磧_討療靴呂もりにみちつつ蒼し猖榾雄
47: 固きカラーに擦れし咽喉輪のくれなゐのさらばとは永久とはに男のことば猖榾雄
46: 雉食へばましてしのばゆた娶りあかあかと冬も半裸のピカソ猖榾雄
45: 燻製卵はるけき火事の香にみちて母がわれ生みたることゆる猖榾雄
44: その論の器用大胆かつ不敵名もなきようだ異端か果ては觜本なつめ
43: 日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン欅薹犬蠅猖榾雄
42: 五月祭の汗の愬 病むわれは火のごとき孤獨もちてへだたる猖榾雄
41: 革命歌作詞家にりかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ猖榾雄
40: べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊永井陽子
39: 海からの風みたいだなごうごうと通過電車に吹かれてみんな早坂類
38: 落魄と思はぬ日さへ追はれ來てつひに立たされし夏野なりけり猖楫鳥
37: いちぎやうですらりと歌をつくり棄て長い散歩に出やうとおもふ紀野恵
36: かんたんに「原ばく落とす」とか言うな
わらうな
マユリーをつれて帰るな今橋愛
35: 盛られ来し海老最期までプライドのありしと思う緋色の双葉吉村千穂
34: かたちだけ質問を待つ 発芽には適さない土としてこの場は兵庫ユカ
33: 青空のどこか壊れているらしく今日三度目の虹をくぐれり佐藤りえ
32: 谷のテント場に電波は届かない無形の空をぼくらは見上ぐ澤村斉美
31: 我は我を見せられずえひがその腹の白さを人に見するほどには大口玲子
30: たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか河野裕子
29: 一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております山崎方代
28: ときどきの思いのなかを馬がゆく光がものを美しくする永田紅
27: ティーバッグ破れていたわ、きらきらと、みんながまみをおいてってしまう穂村弘
26: 眠らむとするころ雨は降り始むことんことんと胸の椎の実柴夏子
25: 各階に京都を見下ろす人はゐて風がそよげば白衣がなびく北辻千展
24: 半そでのシャツの上からコート着て透き通る冬の歩道をあるく永井祐
23: でも君の背後にいつも窓はあり咲いているその花の名は何錦見映理子
22: くれなゐのだりあのかたへいやふかき紅に咲く大輪だりあ岡本かの子
21: 歳をとったら 歳をとったら君に出すお茶にもつつじのひとひらを入れ森本平
20: どの恋人もココアはバンホーテンを買いあたしの冬には出口がない雪舟えま
19: 元日のあさ裃に積もりけるゆきたけながき春がきました可陽亭紅円
18: マンションに夜舞い降りたフラミンゴ照らされる時雨傘になる金田光世
17: 被弾した機体のごとく飛来してわが腕に蝉はぶつかりにけり松村正直
16: 波へだて遠ざかりゆく君のためなほまつすぐに告ぐる愛あり高島裕
15: 「ナイフ? 何故?」咯什カシュガル女性ひとは紅き爪真っすぐに立てて白桃割りぬ片柳香織
14: 頬に風受けつつ走る今もまた何かを忘れてゆくのだろうか西之原一貴
13: 氷砂糖溶けゆくかたちを確かめてすべてあなたのせいだと思う上田茜
12: わが海の荒れやまぬ夏終わるらし あふむけの蝉返し歩かす首藤絵美
11: 手のひらの石けん小さくほぐれゆくまだ果たせずにいる約束は西之原一貴
10: 町の灯を遠く指すとき古魔術のむかしは指の先に現る澤村斉美
9: あの粒の残していったみな跡を拾いつづける車窓の雨粒柴田悠
8: 爪持たぬ夜は満ちたりわが声を喰らへる鳥の止まりゐる針増田一穗
7: 海へくだる水を翼で打ちながら群れの中より一羽が発てり澤村斉美
6: 鳥を飼っているのはほんとう きみのいない時に放して運動させる澤村斉美
5: 地下鉄のレールを遠く伸ばしたる町のいづくに昨日が眠る松島綾子
4: 靴紐を直す背後の噴水に晩夏のいわし雲がかぶさる小島一記
3: 枝高き並木の奥に今日もまた戸が開いている寮の入口西之原一貴
2: 鮭卵がゆるりとなだれくる色にタクシーの灯の連なり崩る堀野真実子
1: 立ち読みの途中突然かなしくて書棚に縋って泣きたくなりぬ水野ふみ

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