一首評〈第13回〉
氷砂糖溶けゆくかたちを確かめてすべてあなたのせいだと思う
一読、美しい相聞歌だと感じた。
解釈を迷う部分は殆どない。
氷砂糖を、そのかたちを確かめるように口の中で転がしている内、
不意に心に満ちる思い――“すべてあなたのせい”。
それは非難というのではなくむしろ密やかな睦言のようで、
舌の上で溶けてゆく氷砂糖よりもきっと、もっとずっと甘いだろう。
そして確信にも近い強さで、鋭くしかし静かに心の深くまで切り込んでくるのだ。
まるでこの歌の内容がそうであるのと同じように。
本当に、とてもうつくしい恋のうただと思う。