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元日のあさ裃に積もりけるゆきたけながき春がきました
可陽亭紅円 (『短歌研究』 2003年11月号 より孫引き)
この歌は「ディテールを描く」という特集の中で、瑣末な技巧にこだわりすぎた歌の例として、安田純生が取り上げている。その技巧とは主に掛詞であり、「元日のあさ(朝)」と「あさ(麻)裃」、「積もりけるゆき(雪)」と「ゆき(裄)丈」、「たけながき(長き)」と「ながき(長き)春」といった具合に、過剰に用いられている。(このような歌を「狂歌」ということを、この解説記事で知った。この歌も江戸時代の『狂歌ふくろ』に収録されているそうである。)

確かにこの歌で取り上げている個々の素材はいかにも古く、一読して心をひきつけられるものではない。また、芸術作品としての高い完成度を感じることもない。しかしこうした歌は、一つの方向に突っ走ったある種の作品主義がゆえに、掛詞の練り込みかたの例として、普通の短歌にはない鋭さを持っている可能性があるのではないだろうか。

徹底して技巧を追及した歌から、面白い部分をつまみ出して、自分の歌の中にバランスよく配置できたら面白いのではないか。そんな思いから、この歌をきっかけに狂歌というジャンルに興味を持った。
評:井上雅史 (2004/04/01)

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