一首評〈第23回〉
でも君の背後にいつも窓はあり咲いているその花の名は何
始まりの『でも』という言葉は何にかかっているのかと思う。
今、君がここにいるという事実だろうかと思う。
今確かに君はここに、わたしの前にいるのだけれど、
窓がある以上、君はいつだって飛び立つことができる。
もし君が飛び立つとしたら、君は何という名の花へと向かっていくのだろうか。
その名を知ったところで、わたしにはその花を摘むことなどできないのであろうが、
それでも、せめて名前だけでも知りたいのだろうか。