ホーム 京大短歌について 歌会の記録 研究会の記録 一首評の記録 掲示板 リンク集
一首評の記録
前へ 一首評リストへ 次へ

なんでなんで君を見てると靴下を脱ぎたくなって困る 脱ぐね
増田静 (『ぴりんぱらん』)
誰かとつながりたいと思うとき、あるいはつながっていると認識しているとき、それでも隔てるものは少なからずあって、ゼロではないのだろう。じぶんとひととの距離は歴史的あるいは社会的な規定とか、すぐには手の届かないいろんな力によるところが大きい。手をつくしても、余計にわからなくなることだって多いのだ。

提出歌の「靴下」は、そうした隔たりが可視化されたひとつなのかもしれない。
普段はとりたてて意識することの稀な衣類という位置づけが、ひそかに機能する結界のような印象を与える。
「靴下を脱ぎた」い、という相手へのどこまでもナチュラルな志向。
それを「脱ぐね」、とまっさらなままさらす。
初句の「なんでなんで」の字余りから、細い糸の上をすべってゆくような衝動に引き込まれる。

隔たりの超え方が素直すぎて、ひとがひとを希求する、そのむきだしな部分を見せられたようで、はっとしてしまうのだ。
評:笠木拓 (2007/01/15)

お問い合わせ サイトマップ