歌会の記録:2022年11月19日(土)〜2022年11月20日(日)

歌会コメント

第64回京都大学11月祭に出店致しました。その際、来場者の方々と会員でいちご(一語)摘みと短冊歌会を行いました。あわせて27首の歌が集まりました。参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。
会員の詠んだ歌を紹介致します。

詠草

【いちご摘み】

またねって言われて《また》があることを何度も宙に投げ上げている/雪野菜帆

引き出しの奥の思い出 銀色の飛沫と宙へ跳び出す鯨/真中遥道

降りしきる雨の銀色 ふるさとの街を振り返らずにスキップ/雪野菜帆

ゆっくりとミシンを踏めば加速する 雨はとどまることを知らない/武田歩

涙にも限度があって夕虹は平野を包むようにひらいた/成山ジュンヤ

君の涙はにじむばかりで流れないその胸中に広がる海よ/小野りた

それぞれの偏愛の声さざめいて水色の体育館は海/布野割歩

空を掴むやうに桜のくろき枝 とまるヒヨドリがそれぞれに鳴く/鈴江義之

【歌会】題:銀杏

一本の線を行ったり来たりするように散るモノクロームの銀杏/奈辺

駅前のベンチであなたを待つときは銀杏葉のごと心広げる/三上麦

理六前イチョウが明度上げており半音高く歌うスピッツ/真中遥道

道端へ落ちた銀杏葉それぞれにもう諦めた秋のあかるさ/布野割歩

一面の黄色を映す水溜まり越えれば秋の歌が始まる/雪野菜帆
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