歌会の記録:2000年5月11日(木)

歌会コメント

歌会 参加者数12名
吉川弘志さん、久々の参加。

詠草

01 同じ貌、同じ枕の病院の白い廊下は傷つけられない  井上リリー

02 岩ばしる花片もまれてつぎつぎに沈む真白き顔囲うため  森雅紀

03 ハンドルを強く握りて漕ぎゆけば新しき書の香が風に舞ふ  片柳香織

04 うっすらと思い残せる人と会う春野へゆくと乗りし電車で  棚木恒寿

05 骨になる涼しさはかくや生垣のもとなる白きどくだみの花  澤村斉美

06 女なら男を愛す男なら女を愛すといふ名の病ひ  松島綾子

07 枯れ草の燃えたるにおいのきえゆけば化粧坂なる参道に佇つ  末松幸弘

08 漱石もこの梁上君子の文を読んでいましたと汗ふく教官  柴田悠

09 Chiminiは敵なるかはるか巴里は箱庭のやうに我が脳にあり  田中あろう

10 友だちのまだ学生の飲んでをり携帯電話の楽しさうな声  山内頌子

11 石廊下あゆむにつれて戦死者の和歌は林のごとくならびぬ  吉川弘志
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